木と語らう仕事 ― レジンでは埋めず、木の声を生かす

一枚板を扱うとき、私たちが最も大切にしているのは「木と向き合うこと」です。

木は自然が何十年、何百年とかけて育てた命。

同じ樹種でも、一本一本、まったく違う表情を持っています。

割れや節、うねり。

それらは“欠点”ではなく、“その木の生きた証”。

職人にとっては、そこにこそデザインの原点があるのです。

レジンは、その木の個性を「隠すため」ではなく「引き立てるため」に使います。

透明なレジンが木の割れ目を包み込み、光を通すことで、木の生命線が美しく際立つ。

まるで自然がもう一度息を吹き返すような瞬間があります。

作業中、私たちは木を削りながら「この木は何を語っているのか」を感じ取ります。

削りすぎれば、木の魅力が消えてしまう。

残しすぎれば、仕上がりの調和が崩れる。

その絶妙な“間”を見極めることが、職人の腕であり、哲学でもあります。

完成したテーブルは、まるで自然と人の合作。

無理に形を整えたものではなく、木が「ここまでなら心地よい」と語るラインに沿って仕上げています。

だからこそ、私たちの一枚板レジンテーブルには、量産品にはない“自然の呼吸”が宿るのです。

木を削り、磨き、触れるたびに思います。

「木は静かに語っている。人がそれを聴けるかどうかだけだ」と。