無名でも選ばれる理由──派手さはない。でも一枚板を選ぶ人は、気づいている。

私たちは、大きな会社ではありません。

広告をバンバン打つわけでもなく、SNSでフォロワーが何万人いるわけでもありません。

でも、時々、わざわざ遠方から一枚板を見に来てくださるお客様がいます。

■ 名前じゃなく、“目利き”で選ぶ人たち

インターネットで検索すれば、何百枚もの一枚板が並びます。

でも、その中で、写真だけではわからない“何か”に気づいた人が、うちを訪ねてくれます。

それは、木の迫力かもしれない。

丁寧な仕上げの質感かもしれない。

あるいは、過度に装飾されていない、素直な見せ方かもしれません。

「何か惹かれる」

その“理由にならない理由”に反応する人たちは、じつは目が肥えています。

そして、私たちのような小さな工房が、静かに選ばれる理由でもあります。

■ 派手じゃない。でも、まっすぐなものづくり

私たちの工房では、仕上げ前の木に職人が手で触れ、何度も確認します。

微妙な反り、乾燥のムラ、隠れた割れ。

その小さな違和感を放置しないことが、10年後の品質につながるからです。

こうした姿勢は、お客様からは見えないことかもしれません。

でも、“使ってからわかる良さ”が、私たちの誇りです。

■ 「いいものを見抜ける人」と出会える喜び

売上より、PVより、SNSの「いいね」より、

一番嬉しいのは、「この木に惚れました」と言ってもらえる瞬間です。

本当にいいものは、派手じゃなくても伝わる。

そう信じていたら、本当に“わかる人”が見つけてくれるようになりました。

誰にでも響く言葉じゃなくていい。

でも、響いた人の心にはずっと残る。

そんな木を届けられたとき、ものづくりの意味を感じます。

■ 最後に

もしかすると、私たちのような工房はずっと「知られにくい」ままかもしれません。

でも、それでも続けていきます。なぜなら、

「選ばれる」ことよりも、「選びに来てくれた人と向き合う」ことを大事にしたいからです。

もしあなたが、「本物を見たい」と感じていたら。

ぜひ、見にきてください。触れてください。

そして、感じたままを教えてください。

木は、素直です。

職人もまた、まっすぐです。