「こんなにいいものなのに、知られていない」──それが一番、もったいないと思うから。

工房のギャラリーには、いくつもの作品が並んでいます。

一枚板のテーブル、無垢のカウンター、木の雑貨や端材のブリケット。

どれも、職人が一つひとつ手をかけ、想いを込めて仕上げたものばかり。

でも、その魅力が、まだ届いていない。

そんな現実があります。

■ 見たら、きっと「うわぁ」と言ってもらえるのに

私たちが扱う木は、本当に表情豊かです。

年輪がゆらぎ、節が味を出し、ひと目で「本物だ」とわかる。

実際に見た人は、たいてい言葉を漏らします。

「これって、写真よりずっとすごいですね」

「こんな木目、見たことない…」と。

でも、その“見てもらう”までが遠い。

SNSの流れに埋もれ、検索にも上がらず、店の場所もわかりづらい。

良いものをつくることはできても、「知ってもらうこと」の難しさに、日々直面しています。

■ 職人は、自分の仕事を「アピール」とは思っていない

職人にとって、仕事はアピールではなく“誠実な作業”です。

手を抜かないのは当たり前。

自分が納得できなければ、納品しない。

誰に見られていなくても、完成度を追い求める。

でも、そういう姿勢がかえって、“自己PR”のようなものと真逆にある。

だからこそ、誠実な仕事ほど、人の目に触れにくいのが現代の矛盾なのです。

■ 知ってもらえたときの感動は、何よりの報酬

それでも、少しずつ、知ってもらえるようになった時期がありました。

見学に来てくれた方が、SNSで紹介してくれたり、

一枚板を納品したお客様が、お友達に薦めてくださったり。

そうやって届いた声が、何より職人たちの力になります。

「あのテーブル、家族みんなで毎日使ってます」

「この木のおかげで、家の雰囲気が一気に変わりました」

そんな言葉を聞いた瞬間、

「もっと伝えていかないと、本当にもったいない」

そう強く思うのです。

■ 木の魅力は、“知る人”が増えるほど生きてくる

木は、使い捨ての素材ではありません。

何十年、何百年と育った命を活かすからこそ、価値がある。

私たちはその木を、「見て、触って、語れる」ものとして届けたい。

でも、それは職人だけでは難しい時代です。

だからこそ、知る人がもっと増えてほしい。

木の面白さ、奥深さ、そして、そこにある職人のこだわりを一緒に広めてくれる人がいてくれたら…。

◆ 最後に：あなたの「好き」が、職人を救います

もし、あなたが木の香りや手ざわりが好きなら。

もし、知らない世界をちょっと覗いてみたいと思ってくれたなら。

ぜひ一度、工房や展示会に足を運んでみてください。

職人たちは多くを語りませんが、手が語っています。

つくられたモノが、きっと静かに語りかけてくれます。

「こんなにいいものなのに、知られていない」

そんなもったいなさを、今日から一緒に変えていけたら嬉しいです。